藤井神社を守る人々

藤井神社を守る人々

藤井神社のある1日

秋も深まった日曜日の朝。

藤井神社の境内の落ち葉を掃き集めているご老人がいます。まだ朝の6時前です。

藤井神社は山の中ではありませんが、6時前と言えばまだ日が昇っていません。薄明りの状態です。

それにもかかわらず一人のご老人がほうきで広い境内を掃除しています。

どこの神社でもそうでしょうが、藤井神社にも大きな木がたくさんあります。秋ともなれば、藤井神社の境内の広場にはその木々の落ち葉がいっぱい落ちてきます。

掃いてもはいてもまた落ちてきます。それでも落ち葉を根気よく掃き続けています。

藤井神社には大木がたくさんありますから、もう私だったらお手上げですが、そのご老人は朝早くから広場を掃除していられます。

ずいぶん掃除された後、近くにある家に帰って食事されているようです。

8時半ころになりましたら2〜3人の人がやってきて、社務所や本殿の戸をあけて藤井神社の内部を掃除しています。

電気掃除機をかけ、大小色々の机を拭き上げ綺麗にほこりを掃除しています。

藤井神社の境内と藤井神社の内部は出来る限りの清掃作業がなされています。

藤井神社の社務所の窓口が開かれ、藤井神社のお札や藤井神社のお守り、天神社の絵馬などいろいろのものが販売されるようになります。

更に一人の男の人が社務所に来ました。

その人は、机に向かって何やら沢山の書類を取り出して整理しています。

藤井神社の行事にお招きする方々への案内状の名簿を確認しているのでしょうか。

藤井神社や天神社に頂いた玉串料やお神酒などの整理もしています。

藤井神社の別の日曜日

朝6時ちょっと過ぎ頃でしょうか、手に手にほうきを持った人たちがすごく沢山どんどん集まってきます。

そうして藤井神社の広場だけでなく、藤井神社の立木のある境内部分まで全員で清掃を始めています。

見る見る綺麗になって行きます。藤井神社の境内は隅々まで落ち葉ひとつない綺麗な姿になって行きます。

月替わりで地域が交代し、その地域の人が総出で藤井神社に集まって掃除してくれているのです。

藤井神社の行事の日

藤井神社には色々の行事があります。

毎月一回定例的に行われる月次祭はもちろんですが、例大祭や新嘗祭などたくさんの行事が行われます。

月次祭は大体10人程度の人で準備していますが、例大祭ともなると、もう、数えきれないくらいの人々が集まってきて、境内の隅々から、藤井神社の内部のいたるところの隅々まで綺麗に掃除しています。

その大勢の人々は掃除をしたら引き揚げますが、10人程度の人が残って、色々の飾りつけを仕上げています。

例えば紫幕を張り巡らせたり、拝殿の内側にくじら幕を張ったり、胡床を並べたりします。

藤井神社の神様のおられる所は神官しか掃除することはできません。

一部の人がお手伝いはしますが、あくまでも神官のみが幕の内側で神殿内部を清掃しています。

ですから藤井神社に関係する人も神様のおられる神殿内部は見ることはできません。

よその神社ではどのようにされているのかは存じませんが、藤井神社では神様であるご神体には神官以外手を触れることはもちろん見ることも許されておりません。

藤井神社の例大祭

藤井神社の例大祭はこの藤井神社にとって一番重要な行事です。

通常の月次祭とは比べ物になりません。

藤井神社には3台の山車があります。

山車をしまう倉庫があるのですが、驚いたことに、全部の部品が取り外されてばらばらに分解されているのです。

例大祭にはこの部品を全部集めて組み立てなくてはなりません。多くの人手がかかりますし、指揮指導するにも何人かの熟練者が必要です。

藤井神社の例大祭の当日には、この山車が藤井神社から少し離れた場所に勢ぞろいして、笛太鼓のお囃子に乗って大勢の人が引いてきます。

笛太鼓を新しい人に教えるだけでも何日もかかりますし、多くの人手を必要とします。

藤井神社境内では三番叟が行われます。

この三番叟は大変な行事です。教わる人、教える人の並大抵ではない努力の結晶です。

その三番叟が藤井神社の境内に設けられた高さ1.5mほどの舞台の上で行われます。

大きな舞台ですが、数人の方があっという間に組み立ててしまいます。

藤井神社の拝殿では式典が行われますが、このとき巫女の舞いも行われます。

巫女は数名の小学生が努めますが、これもまた厳しい練習を何日もかけて行われたのです。

このように藤井神社の例大祭は非常に膨大な内容の行事なのですが、その実行のための打ち合わせ会はなんと30分もかからないほどで終わってしまいます。

私の町内の町内祭りは極々簡単なものですが、ふるまいのトンちゃんはいくらの予算でどこで購入するのかとか、町内をめぐる道順はどうするのか、警察へは誰が届けるのかなどと一から十まで討議されますので長時間の打ち合わせ会を2日間も行わなくてはなりません。

それなのに膨大な行事内容のある藤井神社の例大祭の打ち合わせはあっという間に終わってしまいます。

藤井神社の場合、すべてを知り尽くしているそれぞれの行事内容のリーダーがいるからです。

ですから、山車の引きそろえは何時にいつものところでいいですね、と念を押すだけでよいわけです。

三番叟にしても、何々さんよろしくお願いします、で終わりです。

藤井神社の場合はそのように精通した人がたくさん居られるのです。そのリーダーの指導の下にいくつものことが進行していくわけです。

私の町内の祭りは毎年人が変わるため、内容を知っている人が少ないために非常に長時間を要するのとは大いに異なります。

藤井神社の例大祭を支えている人々は、経験豊かな大勢のリーダーと、そのリーダーのもとで色々の事を行う人々で構成されているわけです。

藤井神社の内部の仕切り

藤井神社にはそのほかにもいろいろの行事あります。例えば天神祭です。

天神祭を例にとってどのように進められるか見てみましょう。

境内の清掃などは大勢の人で行ってもらうことはお話ししましたが、天神祭の進行は氏子総代によって行われます。

氏子は藤井神社の地域全体の人々ですが、その地域をいくつかに分割し、それぞれの地域から代表者を選出します。

その代表者が氏子総代と呼ばれるのです。

藤井神社の氏子総代は10名前後います。

氏子総代の中からさらに代表者や会計係りなどを選出しますが、天神祭のすべてを知っている経験豊かな氏子総代もいます。

実行の名目は代表者ですが、藤井神社の天神祭は実際にはそのすべてを知っている経験豊かな氏子総代の指揮のことに進みます。

ところが実際はまた違うのです。指揮のもとに進むのではなく、氏子総代全員がほとんど内容を知り尽くしているのです。

ですからその特定の人は落ちがないか確認することを主とし、氏子総代各自があれだこれだと済んでいない仕事をみつけてはこなしていくわけです。

新入の氏子総代はまだ何もわかりませんから、先輩の手伝いをしながら色々のことを覚えていきます。

藤井神社の氏子総代の任期は一応3年ということになっていますが、実際には再任再任で長年行っている方がほとんどなのです。

ですから、天神祭の大提灯もまだかけてなければ気が付いた人がかけるのです。

藤井神社の行事の準備では、極端に言えば仕切る人は必要ないのです。ただ、落ちがないか確認すればよいのです。

藤井神社では、氏子総代全員が協力して行事をこなしていくわけです。

でもそれだけではありません。地域の子供たちも皆が協力してくれることがあります。

天神祭の行燈に張る絵を描いてくれるのです。

藤井神社の天神祭は夜祭なのです。背丈ほどの高さのところにボンボリが並べられ、中のろうそくの明かりでその絵が浮き出してくるのです。何列もありますからとても幻想的です。

藤井神社の天神祭のために、子供会の役員の方も、そして子供たちも協力してくれているのです。

藤井神社には参集殿があります。100人入っても何ともないほどの広さです。この藤井神社の参集殿の中で、子供会の役員を中心に、子供の描いてくれた絵をボンボリに張り付けて、藤井神社の天神祭の準備をするわけです。

このときも仕切る人はいません。みんな経験者なのです。新米は先輩のまねをすればよいわけです。

藤井神社の氏子総代は、倉庫からボンボリをとりだしてきて、お願いしますというだけです。

ただ、その前に前年に使った子供たちの絵をはがしておかなくてはなりません。ボンボリはがしといっていますがそれは藤井神社の氏子総代の役目です。

藤井神社の神様と氏子

ここに述べるのは私筆者の個人的考えですので間違っているかもしれません。あらかじめお断りしておきます。

藤井神社では神棚に入れるお札や、身体につけるお守りも販売しています。

いずれも神官によってお祓いをされた、神聖なものです。

このお札やお守りは藤井神社の神様が氏子の安全や平和を願い、お守りしてくださるためのものです。

藤井神社にある本殿には神様が祀られていますが、この神様は藤井神社の氏子たちの無事や安全を願い厄災から守っておられます。

藤井神社に参拝し、本殿の前で拝礼するのは神様へのお礼やお願いなどです。

神様は氏子を守ってくださいます。

氏子は掃除や手入れ、飾りつけなどで神様を守ります。

神様あっての氏子であり、氏子あっての神様だと私は思います。

藤井神社の神様はその地域の氏子たちを厄災から守り、藤井神社の氏子たちは藤井神社を守っているのです。

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